「超古代」に関する暗号の解読
「ほつま研究所」(所長 木元三郎)のホームページの中に、「『超古代』という時代区分」という表題の記事がある。会員の方が書かれたようである。
超古代については、吾郷清彦氏著作の「古事記以前の書」(昭和47年)や鈴木貞一氏著作「超古代王朝の発見」(昭和48年発行)があるが、特に「ほつまつたゑ(秀真伝)」を全訳した「日本建国史」(昭和51年発行吾郷清彦著)において、神武朝以前の時代に「超古代」という名称を提唱したのが発端ではないかとしている。
天照大神から鸕鶿草葺不合尊の年代に関して記載のある書物としては、「ほつまつたゑ」や「倭姫命世紀」などがある。「百七十九万二千四百七十余年」をはじめ「天照大神御寿十万五千歳」や「鸕鶿草葺不合尊、治天下八十三万六千三十二年」などの数字が示すように、それだけ見れば「超古代」である。
しかし、上記の数字はすべて暗号であり、復元年代は一世紀から二世紀に入る年代である。
また、中国史書の「後漢書」によれば、西暦57年、倭の奴国の使人の大夫が光武帝に朝貢している。さらに、西暦107年、倭国王(使)師升等が安帝に清見している。そのことを考えれば、一世紀から二世紀の歴史を「超古代」と捉えるのは正しいと思えない。
(それにもかかわらず、「超古代」をあえて用いたのは、筆者は若い頃、材料の研究開発に従事しており、「超重合金」や「超硬合金」をはじめ、「超弾性合金」を手掛けていたため、「超」という表現に強い思い入れがある、ということをお断りしておきたい。)
「超古代」に関する暗号の解読方法
「表101 超古代の数字」の関係する数字を挙げたので、見ていただきたい。
関係する書物は、正史とされる「日本書紀」を除けば、すべて偽書とされる。
筆者は、これらの書物が偽書だとしても、日本書紀の復元年代を明らかにするためのヒントを与えてくれる貴重な書物とみている。実際に、復元年代を示唆してくれている。
表に記載した内容から分かるように、書物によって少し数字が異なる。
筆者が信頼している数字は、「日本書紀」の「ニニギ降臨の暗号179万2470余年」であり、それ以外の数字は、一つ一つ信頼できるかどうかを判断しなければならない。
「ニニギ降臨の暗号179万2470余年」の解読方法と結果は、「ニニギ降臨の暗号『179万2470余年』の解読」に明らかにしているので、ぜひとも見ていただきたい。
「超古代」に関する暗号の解読も、ニニギ降臨の暗号の解読方法を用いれば解読できるのである。
「超古代」の暗号に関する新しい解読方法
前術した「『超古代』という時代区分」の記事に解読のヒントが述べられている。ポイントのみ次に記す。
「ほつま研究会同人の方が『ヨロトシ』のヨロは祝う意味と寿の意味があるという。百が「モモ」、千が「チ」、万が「ヨロ」というので、『ヨロトシ』は万年ということになるのであるが、祝年や寿年の意味があるとすると年代の推定も違ったものになる。」
「8543年」は、神武誕生年
年代解読方法は上記に述べたヒントに従い、6桁の数字を「万」で区切り、2ケタと4ケタの数字に分解し、それぞれの数字を解読すればよいのである。それも「ほつまつたゑ」の数字に限るだけでなく、「倭姫命世紀」などにも適用できるのである。
倭姫命世紀のニニギ治天下の暗号「21万8543年」は、「万」で区切ると、「21年」と「8543年」に分かれる。「21年」は、治天下即ち在位21年を意味する。
「8543年」は、ニニギ降臨の暗号の解読方法と同じに解読する。2桁ずつ加算すると、137となり、神武誕生ニニギ暦(西暦)137年を意味する。
古事記の神武御年137年と同じ数字であり、古事記の解読結果も神武誕生年を意味する。
次に、倭姫命世紀のニニギ治天下の暗号にはもう一つ、上記の例とは異なる数字「31万8543年」がある。時代や作者が異なると、ニニギ治天下に対しても、いろいろの見方があったのであろう。そのため、異なる暗号が生まれたと考える。
ニニギ治天下の二つの数字の違いは21万と31万の部分であるから、在位21年の他に在位31年とする見方があったことになる。
ところが「8543年」の部分は同じなので、両方の数字から神武誕生はニニギ暦(西暦)137年が読み取れる。神武誕生137年は、上記の在位の解読結果に比べて、より信頼性が高いといえる。
倭姫命世紀には、ニニギの外に、ホホデミとウガヤの暗号がある。それらについて、「『倭姫命世記』が伝える神武以前の歴史」(2008/11/19投稿)に記載したので、読んでいただきたい。
追記(2009/10/31)
「日子穂穂出見命(ホホデミ)治天下 580年」は、神武東征出発の年、ニニギ暦(西暦)155年
解読方法は、「新発見・・・・日子穗穗手見命五百八十歳の意味」(カテゴリ「古事記の暗号」)に述べたので、ご覧いただきたい。
日本書紀は、ニニギ降臨の暗号「179万2470余年」により神武の復元年代を示した。古事記は、ニニギに替えて、同じ「日向三代」の一人であるホホデミに、神武の復元年代を託したのである。
追記(2009/12/05)
鳥居礼氏の「ホツマツタエ入門」(1989年、東興書院)には、多くの暗号が記載されているのを紹介している。
ホホデミ治天下の暗号「63万7892年」は、日本書紀の写本である「三島本」および「玉屋本」や「倭姫命世記」、「神皇正統記」に記載されているという。その他多くの記載例が記されているが、筆者未確認であり略す。
多くの書物の中で一致した数字はニニギ降臨の暗号「179万2470余年」とホホデミ治天下の暗号「63万7892年」である。多数の編者が共有している暗号であり、その意味において信頼できる数字と見做せる。
「63万7892年」という数字の解読結果は、962年(302年、崇神即位年)を意味する。
「179万2470余年」の解読結果は、822年(162年、神武即位年)および300余年であるから、302年と300余年がニニギ降臨の暗号とホホデミ治天下の暗号の結びつきを示唆している。
肝心の「ほつまつたゑ(秀真伝)」には「63万7892年」が見当たらない。なぜなのか?